2007年10月29日月曜日

◆「先入れ先出し」

 学生時代にあるコンビニでアルバイトをしていたのですが、商品の陳列について「先入れ先出し」という原則を教わりました。要は消費期限などの日付が新しいものは棚の後ろに並べ、日付の古いものからお客さんに手にとってもらい、廃棄ロスが必要以上に増えないようにすることです。ドリンクの棚などは、裏から商品の補充ができるので楽なのですが、弁当や惣菜コーナーなどはそういうわけにもいかないので、一旦今並んでいる古い商品をどけてから入荷された商品を奥に並べるのが面倒だったのを覚えています。
 IYグループCEOの鈴木敏文さんによると、この「先入れ先出し」という発想自体が売り手の発想で、顧客の視点に立ててない証拠なのだそうです。確かに、私がアルバイトのときに主婦のお客さんなどが堂々と棚の後ろから商品を取っていたのを見かけると何となく面白くなかったのですが、自分が買い物客としてコンビニやスーパーに行った時には少しでも日付の新しいものを買おうとしてしまいます。
 言われてみれば確かに顧客の視点ではないことはすぐに分かるのですが、ここに自分で気がつくためには常識を疑えるセンスと、批判を恐れない姿勢が必要なのだと思います。仮に先入れ先出しを否定したとして、「廃棄ロスが増えることについてはどう考えているんだ?」といった指摘に対してどのような回答のしようがあるでしょうか。(この回答については「鈴木敏文 考える原則」
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に詳しく語られているのでここでは割愛しますが、何れにせよ、顧客の視点に立つということは非常に重要である反面、それほどに難しいと知る必要があるのだと思います。

2007年10月22日月曜日

◆「後工程はお客様・・・」

 私は大学を出て新卒である自動車メーカーに勤めていました。入社後3ヶ月ほどは工場の組み立てラインに入って現場研修を受けたのですが、そのときに「後工程はお客様」ということを現場の組長さんから教わりました。後工程をお客様と思って、部品や製品を丁寧に取り扱い、かつ自分の工程の作業の品質について責任を持って行いなさいということでした。これは間違いなくラインの作業員に求められる心構えだと思います。でもこの「後工程はお客様」という表現自体には違和感を覚えます。やはり工場のラインの作業員にとっても、お客様と言う存在はあくまで自分たちが最終的に価値を提供している相手(ユーザー)であることに変わりは無いのではないでしょうか。例えば、私はブレーキホースを取り付けていたのですが、その取り付け方がまずくて困るのは、不良を見つけて修理させられる後工程ではなく、間違いない無くその車を購入して運転するユーザーです。(ブレーキホースなどは不具合が出ればユーザーの命に関わる重大な問題です)
 自動車の例はわかり易いため、こうした顧客の視点に立つということは当たり前に思えますが、自分たちの日々の仕事に置き換えて考えてみると、以外に顧客の視点は無視して売り手の視点で物事を考えていることが多いということに気付かされます。これを打ち破っていくことは、自分たちのやっていることを否定するということであり、それは決して簡単な話ではないと思います。日常の中での気付きを少しずつこのブログにも書いていきたいと思います。

2007年10月11日木曜日

◆読書の秋 

読書の秋ということで色々本を読んでいます。わたしは基本的には歴史小説などが好きなのですが、よく仕事で行き詰るとつい「○○の方法」とか「○○のしかたがわかる本」とか「できる社員は○○している」的な本に手が伸びてしまいます。学生時分就職活動のころは「面接マニュアル」みたいな本を頭から馬鹿にして読もうとしなかったのに、今こうしてノウハウ本みたいな本を読むのは、ある意味社会に出て現実を知り、素直になったということだと思います。社会人として、プロとして当たり前の振る舞いということが自分にできているのか?といった自己反省の気持ちで読んでいるので、それ自体は悪くは無いと思うのですが、読書の姿勢としては、「答えを求めて」読むといった姿勢から卒業しなくてはいけないかなと思います。
 一つには批判的に読むという姿勢があるでしょう。本を読んでその内容をただ受け入れるのではなく、自分の価値観や判断基準に沿って賛同できるか、反対ならば対案としてどうするか、といったことを考えながら読み進むやり方です。もう一つには本に書いてある内容で賛同できる事柄について、チャンスを見つけては”実践してみる”というやり方もあると思います。後者のスタイルの方が自分の性に合っていると思っているのですが、私はあまり要領が良くないということもあり、実践してみようとする中で、もっとよく考えればしなくてもいいはずの苦労を経験しているかも知れません。何れにしても、読書から単に知識を得るに留まらず、知的な刺激を得続けたいと思います。

2007年10月2日火曜日

◆問題解決するためのコツ?

「問題解決の手法の知識」という本を読んでいます。
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出張先の本屋で手にとって、単純に知識として問題解決手法にはどのようなものがあり、それぞれどのような内容であるのかということを知っておくために文庫を購入したのですが、前段の導入部分も発散思考や収束思考といった考え方についてよく整理されていて、結構読めます。その中で(本書の全体のテーマは組織としての問題解決手法となっているのですが)個人としての問題解決にあたるステップが話題として出てきます。①準備(熟考)、②あたため、③ヒラメキ、④検証というステップなのですが、この③の「ヒラメキ」のためには②の「あたため」というステップがポイントなのだそうです。熟考して問題意識として強烈に脳裏に焼き付けた後、寝かせているうちに、脳の奥にある一見関係ない情報や、ふと目にした情報と結びつき、パッとヒラメク瞬間がある。これはなるほど確かに、と納得しました。以前流行ったプロジェクトXの中でも、壁にぶつかった各回の登場人物たちがある日ふと、ヒラメク瞬間にめぐり合うポイントが必ずといっていいほどありました。
この準備(熟考)し、あたためるという話は、問題を解決するにあたって、一つには絶対にあきらめない、粘り強さを持つということ、もう一つは解決策を思いつきで実行に移すのではなく、熟考することで失敗するリスクを減らせるということだと思います。日々起こる問題について、常にこの粘り強さを持ち続ける、ということができているか。自分を振り、反省しつつ、まずは解決すべき問題を認識したら「書く」ということから心がけていきたいと思います。 このブログもそのひとつですね。