![]() | 顧客はサービスを買っている―顧客満足向上の鍵を握る事前期待のマネジメント 諏訪良武 著 北城恪太郎 監修 ダイヤモンド社 2009-01-17 売り上げランキング : 3154 おすすめ平均 ![]() Amazonで詳しく見る by G-Tools |
諏訪さんの著書が1月に発売されました。諏訪さんが研究されているサービスサイエンスについて、現時点での集大成としてまとめられており、企業がサービスで差別化しようと考えたり、サービスそのものを収益としていきたいと考えたり、あるいはすでに先進国ではの経済のの70%を占める、サービス産業がそのサービスの価値を高めていくための努力の在り方について、大いにヒントを与えてくれる内容になっています。外装が地味なので?!私の近所の本屋においてなかったのですが、きっとこの本は時代を超えて長く教科書として扱われることになると思います。
内容については是非皆様にも購読していただきたいと思いますが、私なりの感想を残しておきたいと思います。この本の最後の部分は、諏訪さんがオムロンフィールドエンジニアリングで非常に困難な改革を行い、素晴らしい成果をあげた事例が紹介されています。このくだりだけでも感動的ではあるのですが、ただ事例としてしまうと、これを他のサービス産業に応用することは難しくなる、そもそもそれは諏訪さんがサービスについて研究を始めた当初、様々な本を読んで感じた疑問です。単に成功体験を広めるだけではなく、それを応用できるように学術的に分析して、一歩引いた視点で普遍的な法則のようなものを模索し、展開していることがこの本の価値の高い部分だと思います。私は今専門商社でコンサルの仕事をしていますが、商社でも自らを流通業ではなく、顧客の期待値に沿って柔軟で最適な調達を提供するサービス業であるととらえると、新たな道が開けてくるのではないかという気もしています。
ただ、「改革」を断行するということになると、成功のための法則や理論を知っているということでは間違いなく不十分です。例えばOFEの改革の事例では、この本の中では触れられていませんが、諏訪さんは事業部長に就任した時からずっと全社員に向けてメールで手紙を毎週欠かさず展開しています。 その内容についてはこのブログでも以前少し紹介しました。 まったく関係のない私が後からこの手紙を読んで感動したわけで、当時OFEの改革を実行する現場の社員はどれだけこの手紙からトップの情熱を肌で感じ、それを自分たちの力としていったのかが想像できます。また、その期待に応え続けた諏訪さんに私は素直に尊敬の念を抱きます。
この本が単なる成功体験の披瀝ではない分、こうした改革者の人格に帰する部分についての話は全く出てきません。おそらく諏訪さんの性格からして自慢と取られかねないこうした要素を少しでもにおわせるのを嫌ったのだと思いますが、やっぱり押さえておかなければいけないと思い、代わりに書いてみました。(トップの人格とか当たり前過ぎて触れてないだけかも知れませんが・・・)



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