2007年12月17日月曜日

◆外交よりも内交の方が難しい

 以前に私は歴史小説が好きということを書いたことがありますが、中でも司馬遼太郎のファンです。特に幕末、明治維新頃を題材にした小説が好きで、「竜馬が行く」「翔ぶが如く」「燃えよ剣」「世に棲む日々」など、熱い時代の志士達の活躍を読むと、影響を受けやすい私は自分の仕事にもさらに熱が入ったりします。
 歴史小説は基本的には娯楽として読んでいるのですが、歴史の中でその時代の政治や戦争などのシーンにおいて、キーとなる人物の考え方や、重大な局面においてどのように意思決定したかということが描かれている部分は普遍的な教訓を含んでいると思っています。

 タイトルの「外交よりも内交の方が難しい」とは、今読んでいる「坂の上の雲」に出てきます。小村寿太郎の言葉だそうです。小村寿太郎といえば、不平等条約の改正の際の外務大臣ということで、教科書にも出てきますが、歴史に残る外交のプロフェッショナルがこのような言葉を残したということに興味を覚えます。時代の背景としては、日本がロシアとの戦争が不可避な状況になりつつあるときに、正規の外交ルートでは日英同盟の交渉が刻々と進んでいるにも関わらず、明治維新の元勲・伊藤博文(司馬遼太郎によれば、彼はとても現実家であったそうです)が日露同盟の交渉を単独で進めるなどして、彼の後輩である政府の面々を困らせたということを表しています。
 企業における仕事においても「外交よりも内交の方が難しい」というシーンが意外とあるのかも知れません。当然企業における良識派は、伊藤博文のように現実化であるべきだと思いますが、お客様を動かすよりも自分の社内を動かすことが難しいようだと、気付かないうちに様々な機会を失ってしまっている、なんてこということも多いのかもしれません。生意気な考えですが、組織のTOPは、この内交の難しさが度を越えて大きくなってしまわないように目配りをしておく必要があるのだと思います。

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