2007年11月26日月曜日

◆「お客様」の定義

 「お客様の立場(視点)で」といったことを考える際、組織としてその視点に立った行動を実行に移していかなければなりません。しかしながら「お客様は神様です」ということで、何でもかんでもお客様の言いなりになっているのでは企業としての収益を上げていくための活動は立ち行かない、と考える方は多いのではないでしょうか。
 そもそも企業としてみた場合、「お客様」という言葉に対して、社員が思い浮かべる人物の顔は統一されているのでしょうか?BtoCの場合は一定の統一があるのかもしれません。BtoBの場合はどうでしょう。ビールメーカーの営業はどこを「お客様」と見ているでしょうか?自社からビールを仕入れてくれる卸店でしょうか、ビールを売ってくれる小売店でしょうか?営業が対面する人物はこれら組織に所属することが多いと思います。しかし本質的にはビールメーカの「お客様」というのはビールを買って飲む「消費者」ではないでしょうか。
 卸店も、小売店も、飲食店も、最終的にはこの本来のお客様である「消費者」を「お客様」として、ともに発展していくための「パートナー」と位置づけるしかないのではないでしょうか。
 仮にビールメーカの営業が「お客様」を小売店と見ていたらならば、そのメーカーは売り手の視点からの商品開発を続けることになります。そんな商品開発が最終消費者から受け入れられるかは疑問です。
 こういった「お客様」の定義は、顧客視点に立った行動を起こす上で、企業が最初に統一しておくべきものではないでしょうか。
 ビールメーカーのキリンは、競合(アサヒスーパードライ)の動きによって自分たちの動きを決め(コンペティタードリブン)、小売店を「お客様」とみて1ケースいくらというインセンティブによって営業する「価格営業」から真に消費者を「お客様」と位置づけ、その「お客様」が求めるものをベースに小売店、飲食店とパートナー関係を築いていく「価値営業」への転換に3年以上の期間を要したとのことです
キリンの流儀―これが「頭で考える営業」だ カネに頼るな、自分に頼れ!
キリンの流儀―これが「頭で考える営業」だ カネに頼るな、自分に頼れ!猪口 修道

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 お客様の定義を統一することで、お客様の立場に立った商品やサービスの開発、展開と企業としての収益をどう両立させていくかという課題に対して、答えに近づけるのだと思います。

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